流体物理学
流体物理学研究室では、流れのメカニズムの解明を通じて自然現象の原理を知り、同時に工学上の問題に貢献することを目指しています。
流体運動に影響を与える力には、重力、重力と密度差に起因する浮力、地球の自転によるコリオリ力、旋回流による遠心力などがあります。また、微小な系では表面張力が大きくなります。
本研究室では、これらの力の働く密度成層流、回転流、旋回流、さらに、それらの流体中の物体や液滴の運動、乱流、波動(水面波、内部重力波、表面張力波)など、様々な流体現象を研究しています。
教員
* メールアドレスの後ろに .kyoto-u.ac.jp を補ってください。
花崎 秀史 ( Hideshi HANAZAKI )
教授(工学研究科)
研究テーマ
浮力、コリオリ力、遠心力などが流れに与える効果(波動や乱流を含む)、及び、それが物質・熱の拡散に与える影響を、数値計算、理論、室内実験を駆使して研究しています。
連絡先
桂キャンパス C3棟b2S16室
E-mail: hanazakiアットマークmech
沖野 真也 ( Shinya OKINO )
講師(工学研究科)
研究テーマ
密度成層流体における乱流および乱流遷移現象について、室内実験と数値シミュレーションによる研究をおこなっています。
連絡先
桂キャンパス C3棟b2S18室
TEL: 075-383-3823
E-mail: okinoアットマークme
研究テーマ・開発紹介
成層流体
密度の異なる水平な流体層が、鉛直方向に重なってできた流体が「成層流体」です。最も簡単な例は、水と油の「二層流体」です。成層流体では、浮力の働きにより、特徴的で特異な流れが現れます。下の写真に見られるジェットもその例です。地球の大気や海洋は典型的な成層流体であり、「成層」の効果と、地球の自転に伴う「コリオリ力」の効果によって流れが決定されています。
鉛直降下する球によるジェットの生成(左:可視化実験、右:数値計算)
乱流
成層乱流など、乱流中の物質や熱の輸送を研究しています。海洋では、塩分と熱の拡散係数は100倍も異なるため、その拡散の度合いの差が、海洋の流れにも大きな影響を与えます。そうした効果を、水槽実験、スーパーコンピュータを駆使した大規模数値計算、理論解析により研究しています。地球上の流れの多くは乱流であるため、乱流に関する研究は、大気や海洋中の物質拡散の予測や、工学的な応用にとって極めて重要です。
成層乱流中の塩分濃度分布(左;水槽実験(レーザー計測)、右:大規模数値計算)
波動
水面波は、津波に代表されるように、大規模災害と密接に関係しています。津波は、波長が長いほど伝播速度が速いため、震源から海岸まで、水面がほとんど平らな状態でやってきます。しかし、海洋の平均水深は5000mもあるため、水深のわずか0.5%の隆起が25mの巨大津波となり、それが飛行機並みの速度でやって来るのが恐ろしい点です。また、船舶においては、船が波を生成することによって生じる造波抵抗を減らすことが大きな課題です。
山岳や海嶺などの地形によって、流体内部に励起される波(左:概念図、右:数値計算)