日本アイラック危機管理情報

○中国: 各都市のデモ 一時的に沈静化 (2012.08.21)

国際メディアによりますと、8/19、反日デモが広東省の深セン、広州や
浙江省の杭州、温州、四川省成都、など中国の約20都市と香港で発生し、
日本企業が多く進出している広東省の深センではデモ隊の一部が暴徒化し、
日の丸を燃やし、日本車十数台を次々に襲い(運転席で中国人女性が泣き
叫んでも、車体をけり、窓ガラスを割るなど徹底的に破壊)、浙江省杭州
では日系飲食店にも乱入して破壊したと報じられています。
北京の日本大使館前や上海の日本総領事館近くでも小規模な抗議行動
が断続的に行われましたが、中国国内では厳しいメディア統制が敷かれて
おり、一部の英字紙などを除き中国国内の各紙はほとんどデモや暴動を
報じていない状況です。

■在留邦人に被害なし(2012/8/21)
8/21現在、在留邦人に被害が出たとの報告は在外公館では確認されて
いません。また、8/20以降、中国各地ではデモの発生は伝えられておらず、
先週末に発生したデモは一時的に落ち着いた状況が確認されています。

■中国の格差拡大への強い不満が引き金
2005年4月に中国全土で起きた大規模な反日デモや、2010年10月の
中国漁船衝突事件に関する反日デモは、途中からデモの矛先が中国
社会に不満を抱く若者らにより中国政府当局に向かった経緯があります。
約500の日本社を含む世界の企業が進出している経済特区の深センで
今回発生したデモの暴徒化は、世界経済の低迷に加えて、中国国内の
需要減速で雇用状況は悪化しており、出稼ぎ労働者や失業状態の多くの
若者によるデモや抗議活動、警官隊との衝突するが多発していた状態下
で発生した暴動との見方が有力です。

■中国政府 事態の収束に向けた対応を示唆
中国社会の格差拡大への強い不満を抱いた若者らによるデモが拡大し、
今後その矛先が中国政府当局に向かった場合はその一部が制御不能
状態に陥る懸念も指摘されているため、今秋の共産党大会を前に社会の
安定化を重視している中国当局は、8/20、反日デモについて「冷静さを欠き、
非理性的な行為が見られた」、日本車を破壊する等の行動は「中国の
イメージを損ない、愛国を暴力行為の免罪符にしてはならない」等と
中国共産党系機関紙を通して発表し、中国国民の過激な行動を戒めたと
伝えられています。

中国に学生や教職員を派遣されている大学、または派遣される予定
大学は、8/21現在、各都市の反日デモは一時的に沈静化の傾向がみられ
ますが、慰霊祭で沖縄県を訪れた東京都議ら日本人10人が尖閣諸島
(中国名・釣魚島)に上陸したことに対して、中国政府及び中国メディアは
強く抗議しており、中国のインターネット上の反日サイトにも日本を厳しく
非難する書き込みや、成都では今週末に再び抗議活動があるとの未確認
情報も飛び交っています。依然として中国の情勢は流動的であり、引き続き
不測の事態に巻き込ま れることのないよう、安全確保に十分注意して行動
するよう案内することをおすすめします。

具体的な注意情報につきましては、『2012/8/16日付』の日本アイラック
危機管理情報を参照してください。


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