ホーム / 研究・教育 / 研究紹介 / 材料強度物理学

材料強度物理学

材料力学が対象とする構造物は、近年では輸送用機械やプラントなどに止まらず、電子デバイスやマイクロマシーンなどの微細構造物にまで及んでいます。また、信頼性評価・設計手法に計算力学の果たす役割が年々増加しています。

本研究室では、有限要素法や分子シミュレーションなどを用いて、様々な構造物の安全性の向上について研究を行っています。例えば、半導体結晶が育成される際の残留応力が結晶の転位の発生や複屈折に与える影響や100μmに満たない電子デバイスの微細接合部の信頼性評価、鋼材が水素ぜい化する際の分子シミュレーションなどをはじめとする様々なテーマに取り組んでいます。

教員

* メールアドレスの後ろに .kyoto-u.ac.jp を補ってください。

松本 龍介 ( Ryosuke MATSUMOTO )

松本 龍介講師(工学研究科)

研究テーマ

固体の変形・破壊を高度に理解し予測するためには個々の欠陥の特性評価と同時に多くの欠陥が相互作用する系を取り扱うことが重要です。現在は、主に原子シミュレーションを主に用いて、鋼材の水素脆化機構や新奇マグネシウム合金の変形機構に関する研究を行なっています。

連絡先

桂キャンパスBクラスター事務管理棟2F GL教育センター
TEL: 075-383-2039
FAX: 075-383-2053

桂キャンパス C3棟c2N03室
TEL: 075-383-3635
FAX: 075-383-3636

E-mail: matsumotoアットマークsolid.me

研究テーマ・開発紹介

水素環境下での材料強度に関する研究

地球環境問題の深刻化などから、二次エネルギーとして水素の利用が注目されています。この際、水素を高圧化するなどして貯蔵/輸送する必要がありますが、水素が金属内部に侵入して材料強度を低下させる現象(水素脆化)が問題になります。この水素脆化のメカニズムは未だ解明されておらず、水素環境での高精度な材料強度予測は行なえていません。材料内で水素がどのように作用することで材料強度が劣化するのかを、様々なコンピュータシミュレーションと実験計測を駆使することで調べています。

kotai_fig_1-1.jpg
図-1  水素が鋼材の変形と破壊挙動に及ぼす影響の評価

新奇マグネシウム合金の変形機構に関する研究

マグネシウムは実用金属中で最も軽量であり、資源も豊富ですが、力学特性に問題がありました。近年、極めて高い強度と加工性を持つマグネシウム合金(LPSO型マグネシウム合金)が見つかり注目を集めています。原子シミュレーションを用いることで変形中の欠陥の動きを詳細に観察し、何故、従来のマグネシウム合金に比べて優れた力学特性を発現するのかを調べています。これが分かればより優れた材料の開発、高精度な加工技術の開発などに繋がります。

kotai_fig_2-1.jpg
図-2  LPSO構造のキンク変形の解析

大規模分子動力学計算を用いたナノメタルの力学特性評価・予測

近年、金属ガラスと結晶相からなる複相材料やナノ多結晶体等が開発されており、それらの新規材料が特異な力学特性を有することが報告されています。マクロな力学特性の発現メカニズムを解明するためには、個々の欠陥の基本的特性を評価することと同時に、多数の欠陥が相互作用し合い現象が連成する系をできるだけ近似が少ない状態で取り扱うことが重要です。大規模な原子レベルシミュレーションはそのような問題に対して強力な解析手段になります。また、結晶粒子径や結晶体積分率などのミクロな因子が、マクロな力学特性にどのような影響を与えるのかをそれぞれ分離して評価することが可能です。

本研究室では、並列計算機を用いた大規模な分子動力学シミュレーションにより、図3に示すように種々のナノメタルの変形・破壊解析を行っています。また、高効率なシミュレーション手法の開発にも取り組んでいます。


図-3a ナノ結晶分散金属ガラスの変形挙動  / 図-3b α鉄ナノ多結晶体中のき裂進展挙動解析


図-3c 強せん断変形によってα鉄に生じる組織発展