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粒子線材料工学

材料が放射線・粒子線に照射されたときに引き起こされる現象(照射効果)の研究は、固体内原子と放射線・粒子線との相互作用という観点からは物理的に、また原子炉材料、航空宇宙用材料のように照射下で使用される材料開発という観点からは工学的に重要な分野です。

その中で特に、照射による材料中の欠陥生成に関する基礎研究とそれを応用した材料開発をめざして研究をおこなっています。

教員

* メールアドレスの後ろに .kyoto-u.ac.jp を補ってください。

木野村 淳 ( Atsushi KINOMURA )

教授(原子炉実験所)

研究テーマ

連絡先

徐 虬 ( Qiu XU )

 准教授(原子炉実験所)

研究テーマ

原子炉と核融合炉用の金属材料における中性子照射によって形成された欠陥の集合過程を調べ、照射による機械特性劣化の機構を明らかにする研究をおこなっています。

連絡先

原子炉実験所 研究棟 3階304号室
TEL: 072-451-2417
FAX: 072-451-2620
E-mail: xuアットマークrri

籔内 敦 ( Atsushi YABUUCHI )

助教(原子炉実験所)

研究テーマ

連絡先

研究テーマ・開発紹介

既存欠陥を用いた照射下における点欠陥過程の検出

照射下の点欠陥過程を検出するために、転位、結晶粒界、結晶表面等の既存欠陥の照射による変化を有効に用いています。

らせん転位のジョグは、1種類の点欠陥を吸収するとつる巻きバネ状(ヘリカル)転位に変化します(図-1参照)。中性子を照射したニッケルでは、ジョグは原子空孔より格子間原子を多く吸収するために図-2のように変化します。このヘリカルの直径からジョグがどれだけ格子間原子を吸収したかが評価できます。

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図-1 らせん転位のヘリカル転位化の模式

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図-2 14MeV中性子を290℃で照射したニッケル中のヘリカル転位

ワイドギャップ半導体の放射線照射効果に関する研究

チタニアや炭化ケイ素等のワイドギャップ半導体は放射線や高温などの厳しい環境下でも大容量の制御素子として働く可能性をもつ材料として期待されています。これらの放射線に対する照射効果を照射温度、フルエンス等をコントロールした環境下で調べます。

図- 3は、セラミックス系半導体である4H-SiCにおける空孔型欠陥の生成効率が、MgOやアルミナ等のイオン結合性の強い物質のように低温で高く、高温で Frenkel欠陥の再結合により指数関数的に低くなるという現象とかなり異なり、250K付近に極大値を持つことを示しています。

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図-3 セラミックス中に生成される欠陥濃度の照射温度依存性

原子力材料の劣化機構の解明

中性子照射による原子力材料の劣化は原子炉の安全性に関わる重要なことなので、劣化機構を明らかにすることが必要です。例えば、原子炉では、材料中に不純物として含まれている銅の析出による交換が不可能な圧力容器の脆化が特に問題視されています。いかに正確に材料の特性を予測するか、またいかに照射による特性変化の少ない材料を開発するかが研究の重点です。最近の研究により、劣化した圧力容器鋼をさらに高い温度で照射すると、脆化の回復が見られました。今後、温度変動照射による圧力容器鋼の回復機構の解明とともに、圧力容器鋼の劣化を抑える最適な温度変動範囲を求める予定です。

図-4は、300℃一定温度照射と300℃/450℃温度変動照射における同時計数ドップラー広がり測定による銅析出物変化を示しています。温度変動照射の方が銅析出物のピークが低いことから、銅析出物が分解されたことが分かりました。

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図-4 Fe-0.6Cuモデル合金における一定温度照射と温度変動照射による銅析出物の形成