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先端イメージング工学

1. バイオマイクロシステム工学について
経細胞情報伝達機構、神経細胞と超微粒子との相互作用、マクロファジーの防御機構、超微粒子との相互作用、万能細胞に関する基礎研究(防御機構、超微粒子との相互作用)をおこなっています。

2. 放射光の生体応用関連研究について
放射光(Synchrotron Radiation, Micro Beam)による超微細領域での超微量元素分布の測定技術を確立し、分析技術の基礎理論の構築について研究しています。

3. イオンビーム加工、分析について
現在はPDP用透明保護膜についての研究を進めています。蒸着材料の作製、薄膜蒸着チャンバーの設計、薄膜試料の蒸着、薄膜試料の分析、および2次電子放出率の測定。2次電子放出率測定に関しては、デバイスの設計もおこなっています。また、イオンビームによる高分子薄膜の表面改質、イオンビームによる高分子加工、バイオセンサーへの応用などの研究も進めてきました。

教員

井手 亜里 ( Ari IDE )

井手 亜里教授(工学研究科)

研究テーマ

Spring-8や高エネルギー加速器研究機構にて、シンクロトロン放射光を用い神経疾患の脳組織や培養ES細胞等を含む様々な生体材料の元素分析をおこなっています。また、プラズマディスプレイパネル(PDP)の省エネルギー化を目的に、PDP内部の誘電体保護膜材料への応用を目指したMgO複合材料の開発に取り組んでいます。

連絡先

桂キャンパス C3棟 b2S01室
TEL: 075-383-3665
E-mail: h51167アットマークsakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp

研究テーマ・開発紹介

シンクロトロン放射光を用いた生体材料の分析

近年、高齢化社会を迎え、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの中枢神経系に障害を生じる神経変性疾患の患者数はますます増大する傾向にある。これらの神経変性疾患における神経細胞死と微量金属元素の蓄積との関係が注目されているが、そのメカニズムは未だ明らかではない。

細胞単位で生体の組織を考えた場合、生体の活動が正常のときは元素間の物理的(各元素の濃度)及び化学的(各元素の化学状態)均衡状態が存在する。このような均衡状態の中で、脳細胞ではカルシウム、リンといった細胞内の主な元素の濃度変化によって神経細胞間の制御信号の伝搬がおこなわれる。神経細胞内に外部からの超微量元素の取り込み・蓄積が起こると、細胞の機能が失われる、或いは低下すると考えられる。例えば、Alzheimer病、 Parkinson病では、超微量元素の異常な取り込み・化学状態変化によって細胞毒性が現れ、細胞の機能が失われることが発症の原因の1つではないかと考えられている。

本研究室での放射光を用いた研究の目的は、粒子線(イオン、電子、光子)分析技術の一環として、高輝度放射光を用いて新しいアプローチで細胞レベルでの分析をおこない、準定量的な手法で細胞の機能、及び機能低下について研究をおこなうことである。

これら神経細胞の分析のほかに癌組織と亜鉛の関係の解明、ES細胞の分化のメカニズムの解明、インプラントからの金属の溶出の評価、歯を用いた環境の変遷の評価など様々なテーマへ放射光を用いた新しいアプローチで分析を適用し、新たな知見を得ることを目的とし研究をおこなっている。


図-1 ES細胞の顕微鏡写真および放射光マイクロビームによるFeの元素分布図

実用化に向けたPDP内部の透明保護膜材料の開発

プラズマディスプレイパネルは近年大型ディスプレイの分野において急速な発展を遂げてきました。その長所としては大型化が容易なこと、視野角が広いことなどがありますが、逆に生産コストが高い、消費電力が大きい、また、ブラウン管に比べれば依然として輝度が劣る、などの課題も抱えています。

PDPの構造は図-2のようになっています。この図でもわかるように保護膜は直接放電空間に曝されており、その性質はPDP全体の特性に大きな影響を与えます。そのため、保護膜に求められる要素は 

  • 様々な粒子の衝突に対する耐久性
  • 発生した可視光を透過する高い光の透過率
  • 長時間の電圧の印加に対する安定性
  • 放電開始電圧や放電維持電圧を下げ、メモリ機能を向上させる高い絶縁性と2次電子放出率

など、多岐にわたります。そのため、保護膜の開発はPDPの改良には不可欠な要素になってきます。

そこで本研究室ではこの保護膜材料の開発をテーマに研究を進めています。その中でも特に保護膜材料の2次電子放出率に注目して研究しています。現在保護膜の材料には一般にMgOが用いられています。本研究室ではMgOに様々な添加物を混合したMgO複合材料を用いた薄膜を作製し、その諸性質の分析をおこなっています。また、最終的な目的として2次電子放出率測定のために、2次電子放出率測定装置の開発も同時進行でおこなっています。(図-3)


図-2 PDP概略図

  
図-3 2次電子放出率測定装置概略図