第5回活動成果報告会 (2012.3.5) 開催報告

第5回活動成果報告会(2012.3.5開催)は、派遣終了者6名からの報告が行われた。

第5回活動成果報告会写真3今年度中では最終となる今回は、3月という開催時期のために参加人数が少なめではあったが、派遣終了者とプログラム総括委員メンバーを中心とした、内容の濃い報告会となった。

ある学生からの報告の中に、事前に自分が研究活動を行なうための環境を知らされていなかった(渡航前に詳しく聞かなかった)ため、現地に到着すると、居室が研究室ではなく、実験室のような部屋であった。研究実験を行なうための環境とデスクは整っていたが、受入れ研究者の研究室学生やスタッフと話す機会が日常的には少なく、少々寂しい思いをした。との報告があった。できれば、渡航前に受入れ研究者に相談し、他の研究者とディスカッションしやすい環境を準備いただけるよう、また、さらに言えば、受入れいただく組織のメンバーに、自分の研究についてプレゼンテーション・アドバイスをいただけるようなミーティングの開催を自ら依頼しておくことも必要かもしれない。特に、学生は、実験データの取得・解析に終始した滞在にはならぬよう、現地の学生や研究者との積極的なコミュニケーションを大切に、充実した時間過ごしていただけるよう願う。

第5回活動成果報告会写真1このほか、3ヶ月の派遣期間を経験してきた学生から、この期間で実験-計画-解析のひととおりを終えることの難しさについて感想が述べられた。例えば、実験装置の不具合、データの取り直しの必要性が発生する等、予期せぬトラブルが発生した場合などを考えると、期間としては短く、結果的に中途半端なものに感じた。とはいえ、滞在中に必ずしも主だった成果を出さなければならないと考えるよりも、現地での研究への考え方やアプローチの違いに触れることにより、新しい着想を得、そこから今後の研究へ新しい展望を見出すことが大切である。という、新鮮な視点からの報告もなされた。

毎回、セッションの最後に行なわれる、Question and Answer Sessionでは、プログラム総括委員長より、二つの質問が投げられ、派遣終了者からの意見を得た。

「ポスドク以上の若手研究者の派遣人数が伸び悩んでいるが、何故と思うか」

----- 自分が研究室に不在となった際の周りへの負担を考えると、思い切った決断がしにくい。

----- 結局は、研究室(または会社)の上司の後押しがあるかどうか。によるところが大きい。

「このプログラムでの在外研究の経験について、(学生にとっての)就職活動や(社会人学生にとっての)社会人キャリアとして評価を受けられる(受けている)と思うか」

----- 就職活動においては、海外での在外研究経験を高く評価してもらっている。

----- 会社内においても評価が高く、むしろ海外経験を奨励している傾向にある。

第5回活動成果報告会写真2報告会では、相変わらず、現地での詳細な研究内容について発表時間の多くを割いている発表者が多い。“現地の人との交流やエピソード、文化や思考の違い等、現地で見たこと触れたことについて、より幅広い報告を求める”と伝えているが、さらに内容に幅をもっていただきたい。

プログラム開始から丸2年強が経過し、派遣のリピーターも数名でてきている中、報告会終了後、お互いに情報交換をしている学生の姿が見受けられるようになった。報告会が、派遣経験者とこれから派遣申請を考えている学生との間で、もっと情報交換できる場となるよう、工夫できればと考える。