第6回活動成果報告会 (2012.10.11) 開催報告

第6回活動成果報告会(2012.10.11開催)は、派遣終了者10名からの報告が行われた。夏以降に出発する派遣者が多いため、本年度に入ってからは初めての報告会となった。

第6回活動成果報告会写真1■カリフォルニア工科大(Caltech: California Institute of Technology)に1年滞在した助教の報告から、本大学が世界大学ランキングで1位となる要因として、小人数単位でのゼミ、ダウンタウンから離れた静かな環境で研究ができること。等があることが挙げられていた。

■ドイツに滞在した助教からは、現地でのビザの取得に必要な健康保険の加入手続きにかなり手間と時間がかかったことが報告された。EU圏外からの研究員を受け入れるために、どのような健康保険の加入が必要か、受入れ大学にも情報が無かったこと等が理由としてあったが、この類の情報は入念に調査した上で渡航することが必要である。

■オーストラリアの研究機関に滞在した博士学生からは、現地の実験施設は研究機関全体で一つの大きな施設を共有していた。そこにあるものは何でも使ってよいという考え方。日本の大学は、各専攻、研究室がそれぞれに施設を所有・管理している場合が多いので、この点に大きな違いを感じた。受入れ研究者の自宅にホームステイしたが、研究にも育児等家のことにも平等なワークバランスを持っている姿にも影響を受けた。との報告。

第6回活動成果報告会写真2

■英語が母国語でない国で、外国人の研究者を交える場合は英語でのディスカッションが行われるが、発言しなくなると、いつの間にか彼らの母国語が使われて話が進んでいく。自分から発言すると英語に戻るので、発言しない限りはディスカッションへ参加できないということ。発言することで自分の存在を示すことの重要さを再確認。滞在中、国際会議での発表、継続的な共同研究を約束できた。現地で他の研究者と交流することで、自分の分野内容をより拡げる可能性を探ることができる。

■ドイツのシュツットガルトに2週間滞在した助教は、自ら出向くことで共同研究のきっかけを作り、その後、同研究室の学生をより長期で滞在させ、現在、そのテーマをひきついで現地で研究を行っているとのこと。(各派遣者が希望の滞在期間を実現させるのは難しいが、このような形でプログラムを効率よく活用いただきたい。)

■アメリカで開催された、サマースクールへ参加した修士学生からの報告。世界各国から学生が集まり、自身の研究や将来構想をお互いに話す機会に恵まれた。外的刺激を受け、博士課程へ進むモチベーションにもなった。

第6回活動成果報告会写真4本プログラムは、主に、研究機関で2週間以上~中長期の研究滞在を奨励している。今回、10日程度のサマースクールへの参加を目的とし渡航を希望した学生については、プログラムの主旨から外れることから、内容を把握するため何度か面接を行い、プログラム総括委員会で検討を重ねた上で、派遣を承認した。結果的に大変良い結果を持ち帰ったとの報告を受け、枠を拡げて派遣を行ったことへの成果を実感できたことは喜ばしいことであった。

毎回、セッションの最後に行なわれる、Question and Answer Sessionでは、在外研究に対する考えについて、派遣終了者(特に助教)からの意見を聞くことができた。

Q: 教員が長期での在外研究を積極的に行えない理由は、どのようなことが挙げられるか?

----- 本来はもう少し長い(半年~1年)滞在することが理想。予算は科研費等持っているはずだが、担当する授業や学生の指導への影響を考えると決断しにくい。

Q: もしサバティカル制度があったら?

----- 現研究分野の発展のため、新しい分野の文献を読みたい

第6回活動成果報告会写真3Q: 世界大学ランキング1位の大学で在外研究を行った感想は?        ※カリフォルニア工科大(Caltech: California Institute of Technology)に1年派遣滞在された助教への質問

----- 世界のトップスクールで学ぶ学生の意識の高さを感じた。自分の人生への考え方が変わった。現地のラボの仲間がファミリーのようで、お互いに健康で幸せであって欲しい。と願うようになる。滞在場所がどの研究機関であれ価値ある滞在になると思うが、長期間不在になることで他の先生への負担が大きくなるので、負担がかからないようなシステムが大学にあると良い。

今回は、発表者(学生)の指導教官へも開催案内を送付したところ、数名の教員にもお越しいただいた。海外での研究滞在により、たくましく成長した学生の姿を確認いただける場になっただろうか。