120822日本アイラック危機管理情報

○安全管理：派遣元大学による事前指導の重要性（2012.8.22）
～派遣元大学・団体による安全配慮義務の徹底～

ルーマニアのブカレスト近郊で就業体験（インターンシップ）に参加予定
の日本人女子大学生が殺害された事件で、地元警察発表の目撃情報
によると、空港に夜間到着したばかりの被害者女性は出迎えを手配して
おらず、到着ロビーで一人きりで困っていた被害女性に殺害容疑者は
近づき、親切を装って「手助けをしてあげる」と声をかけ、その後一緒に
タクシーに乗り込み、乱暴後に殺害されたと報じられています。
また、被害女性はルーマニア到着後、そのまま一人で深夜電車を利用し、
約3時間かけて最終目的地（インターンシップ）に到着する予定だったと
伝えられています。

■夜間の到着便に注意
日本から直行便が運行されている東欧地域は限定されており、欧州都市
（ウィーン等）を経由して東欧の目的地に到着する便が多いため、夜間に
到着する便も少なくありません。また、東欧だけでなく、国や地域により
若干状況は異なりますが、西アジア、東南アジア、ロシア、中南米、
アフリカ地域においても同様の運行状況がみられます。
日本出発の直行便の中には、LLCを含む安価な航空券の場合は目的地
に夜間に到着する便もありますので十分注意が必要です。

■事前の安全対策と指導の強化
大学の承認する海外派遣留学プログラム（インターンシップ含む）において、
特に学生個人が航空券を手配し、海外の研修目的地（大学等等）に単独で
到着する「現地集合型」の海外研修を実施している大学・団体は、今後同様
の問題が発生しないよう、安全配慮義務の一環として事前の安全対策の
強化・徹底をおすすめいたします。

①出発前オリエンテーション：　危機管理と安全管理の指導を徹底
・派遣元大学・団体の安全配慮義務の一環として、出発前のオリエン
テーションで、最新の現地情報（治安、犯罪トラブル、衛生健康、医療）
を提供する。
・現地で邦人が巻き込まれた犯罪等のトラブル事例等を紹介し、トラブルに
巻き込まれた原因、予防・回避・遭遇した場合の対処措置などについて
具体的な安全対策を指導する。
・空港到着時から目的地に到着するまでの安全指導を徹底する。
・緊急連絡先リストの配布

②目的地に夜間（20:00以降）到着する航空便の利用は避けるよう指導し
（できるだけ夕方までの到着便の手配を指導）、利用便の詳細な
スケジュールは派遣元大学・団体に事前に提出するよう案内する。
乗継便が翌日以降になる場合はホテル手配を義務付ける。
⇒空港内（到着ロビー）での野宿は危険が伴うため避けるよう指導する。

③止むを得ず夜間（20:00以降）に到着する航空便を利用する場合は、
派遣元大学・団体の承認を得ることとし、そのうえで到着空港で信頼
できる出迎者（空港ピックアップ）の事前手配、空港内または周辺ホテル
の事前手配を義務付けるなどの安全対策を講じる。
⇒空港ロビー内での野宿や、到着後に深夜列車・深夜バス等で
長距離を移動することは危険が伴うため必ず避けるよう指導する。
⇒空港近くの安全なホテルに宿泊し、翌日移動するよう指導する。

④現地の空港等でトラブルに遭遇した場合は、緊急連絡リストに基づき
アイラック24時間緊急連絡先（安心サポートデスク加入者）、
派遣元学校・団体担当者、家族、在外公館等に連絡するよう指導する。

■安全管理情報：　空港や駅で白タクによる犯罪被害の増加
○海外の空港や駅では、親切を装って声をかけてくる違法タクシー業者
（白タク）やその仲間（犯人グループ）による犯罪が後を絶ちません。
事前に手配した出迎者以外の知らない人から、「タクシー乗り場まで
ご案内しましょう」、「安いタクシー・ホテルを紹介します」等と声をかけ
られた場合は、荷物を盗られないよう注意しながら、その場ではっきり
「NO」と断るように指導してください。
⇒事前に手配した出迎者と携帯電話で連絡がとれる体制を整える。

○欧米などの空港や駅では、荷物（スーツケース）の荷札に書かれた名前
を犯罪者が読み取り、「○○さん、出迎えにきました」等と出迎者を装った
犯行も発生していますので、到着時に荷物タグの名前が読まれないよう
注意し、出迎者名を確認する等の安全対策を講じてください。


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